犯行グループの主犯格で、若者たちに過激思想を伝えたとされるアブデルバキ・エスサティ容疑者の自宅があるアパート=25日、リポイ、榊原謙撮影
スペイン北東部カタルーニャ州の連続テロ事件は、27日で発生から10日となった。過激思想に傾倒したとされる犯行グループが暮らした小さな町を訪ねると、巧みに地域の目をすりぬけていた様子が浮かび上がってくる。
容疑者らつなぐ「モロッコ人脈」 スペイン連続テロ
州都バルセロナから北へ100キロ、ピレネー山脈のふもとにある人口約1万人のリポイ。「主犯格」とされる40歳代のモロッコ人、アブデルバキ・エスサティ容疑者が、地元モスクの宗教指導者(イマーム)になったのは昨春だった。
シャツにジーンズ、スニーカーというありきたりのいでたち。寡黙で他人と積極的に交わるタイプではなかった、と住民は振り返る。モスク関係者によると、過激思想を口にすることもなかったという。
駅前のアラブ系カフェで時々顔を合わせたモロッコ人男性(30)は、1年ほど前、机やいすをどう運ぼうかと思案していると、エスサティ容疑者が自分のワゴン車を出してくれた。礼金は頑として受け取らなかったという。「無口だが礼儀正しい男だ」と思っていたが、町の目を欺くための「表の顔」だったと今は考えている。「あいつは二重人格だ。裏切られた」
エスサティ容疑者は麻薬取引にからんで逮捕され、2010年から4年間、収監された。刑務所内で04年のマドリード列車爆破テロの実行犯と出会い、過激思想の影響を受けたとされる。出所後の15年にリポイに来たとされるが、16年1~3月にはベルギーに滞在。ブリュッセルの地下鉄や空港でテロが起きたころ、リポイに戻っている。
エスサティ容疑者が選んだカタ…