街頭のモニターに映し出された北朝鮮のミサイルに関するニュースを見つめる人たち=29日午後7時47分、東京都千代田区、池田良撮影
北朝鮮は29日朝、平壌近郊から弾道ミサイル1発を発射し、国際社会と対決する姿勢を改めて鮮明にした。日米韓3カ国は、中距離弾道ミサイル「火星(ファソン)12」(射程4千~5千キロ)とみて分析を進めている。韓国国家情報院は29日の国会報告で、米軍基地がある米グアム島や、日本の主要都市を攻撃できる十分な能力があることを誇示する狙いがあったと説明した。
特集:北朝鮮ミサイル発射
ミサイルは約2700キロ飛行し、北海道・襟裳岬東方の太平洋に落下。火星12は北朝鮮から約3400キロ離れたグアムも射程内だ。北朝鮮は日本列島を通過する最短コースを取った可能性がある。さらに北海道・東北地方は首都圏に比べてミサイル防衛能力が十分ではなく、迎撃を避ける狙いがあったとみられる。
国情院は29日の国会で、平壌近郊の順安(スナン)空港から初めて弾道ミサイルが発射されたと報告した。アスファルトやコンクリートで整地された空港からの発射は比較的容易だ。北朝鮮が迎撃を意識し、短時間で準備が済む空港を発射場所に選んだと分析している。
北朝鮮はグアムの周辺を中距離弾道ミサイルで包囲射撃すると予告。詳細な軌道も公表していた。29日の発射を前に、日米韓の注意をグアムへの包囲射撃に引きつけておく狙いもあった模様だ。
また、北朝鮮の労働新聞(電子版)は29日付の論説で、31日まで展開される米韓合同軍事演習を非難し、「自主権と尊厳に関して少しも譲歩しない」と主張した。中ロなどの理解が得られやすい米韓演習への対抗措置を名目として、日本やグアムへの攻撃能力を誇示したとみられる。
金振武(キムジンム)・韓国淑…