北朝鮮が29日、日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射したことに対し、各国の首脳や外相からも非難の声が上がった。
フランスのマクロン大統領は29日、「またもや無責任な行動をとった。ミサイルや核の脅威は欧州にもかかわる問題だ」と指摘し、他の国連安保理の常任理事国と連携を取りつつ「事態の深刻化を防ぎ、北朝鮮を交渉のテーブルにつかせるため、あらゆるイニシアチブをとる用意がある」と語った。
大統領府での外交演説のなかで、「北朝鮮に関する危機」として言及した。「妥協を許さぬ対応をとり続ける」とも強調し、日本が抱く不安や懸念に対しては、「フランスの連帯の気持ちを表明する」とした。
メイ首相が30日に来日する英国のジョンソン外相は29日、ツイッターで「北朝鮮による無謀な挑発に憤りを覚える。違法なミサイルの発射を強く非難する」と断じた。
オーストラリアのビショップ外相は29日、地元テレビのインタビューに「北朝鮮の挑発行為がエスカレートしている。どの国であれ、ほかの国の領域の上空にミサイルを発射するのは危険で脅威だ」と北朝鮮を非難。「平和的な解決に向けて、努力を強めなければならない」と述べた。
一方、数々の制裁決議を北朝鮮に無視されてきた国連安全保障理事会。29日午前、安保理の議場に向かう各国大使の表情は険しかった。
米国のヘイリー国連大使は記者団に「北朝鮮はあらゆる安保理決議に反しており、何か重大なことが起こらないといけないと思う」と述べた。新たな制裁決議の必要性を問われると、ヘイリー氏は「中国とロシアが対北朝鮮で、これまでの決議の時のように私たちと協力を続けることを期待する」と答えるにとどめた。
安保理は今月5日、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、石炭の全面禁輸などを盛り込んだ、大幅な制裁強化決議を全会一致で採択したばかり。ヘイリー氏は「対北朝鮮で他に何ができるのかを検討することになる」と述べた。(パリ=青田秀樹、ロンドン=寺西和男、シドニー=小暮哲夫)