ミャンマーから国境を渡り、バングラデシュにたどり着いたロヒンギャら=ロイター
ミャンマー西部ラカイン州マウンドーで警察施設など約30カ所が武装集団に襲撃された事件後、治安部隊が掃討作戦を続けたことで、イスラム教徒のロヒンギャ住民が大量に難民となっている。政府が「事件を起こしたテロリスト集団」と指摘する「アラカンロヒンギャ救済軍」(ARSA)とはどんな組織なのか。NGO「国際危機グループ」のアジア部門長のアナガ・ニーラカンタン氏に聞いた。
8月25日未明、数百人の武装集団が警察や軍の施設を一斉に襲った。持っていたのは刃物や棒のほか、自分たちでつくった木製銃や簡易爆弾。ARSAは同日朝、「これは、世界で最も迫害された人たちを守る方法だ」などとツイート。ミャンマー政府はこれらを「犯行声明」と断定している。
ニーラカンタン氏は「武装集団は、長らく社会的に疎外されてきたロヒンギャのごく一部だ」とした上で、ARSAは、過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織「アルカイダ」などと違い、行動に強い宗教的理由を持ち出していないと指摘する。ARSAは襲撃後もツイッターやユーチューブで発信しているが、「ロヒンギャを救う」という言葉を繰り返している。
ISやアルカイダとつながりはないのか。「訓練を受けたサウジアラビアなどで接触はあるかもしれないが、組織同士の直接的なつながりはないとみられる」という。一方で、「ARSAが力を増大させれば、アルカイダなどが近づくおそれはある」と警告する。
ロヒンギャは1980年代や90年代にも武装組織をつくっていたが、今回のような大規模な襲撃はなかった。ニーラカンタン氏は、「二つのターニングポイントがある」と説明する。
一つ目は、2012年のロヒン…