「わらしべの家」を使って京北のまちづくりに取り組む伊豆田千加さん(左端)ら=京都市右京区
京都市北部の山あいに広がる京北地域に、築100年超の大きな古民家がある。おとぎ話の「わらしべ長者」のように、一口サイズのチョコレートから4年間にわたり物々交換を続け、この家を手に入れた人たちがいる。
観音様のお告げをもらい、1本のわらを手に入れた貧乏な男が、道中でより高価なミカンや馬などと交換を重ね、最後に屋敷を手に入れる「わらしべ長者」の物語。それを現代で再現したのは、同市右京区で、地域密着型の無料季刊誌「右京じかん」を発行するNPO法人「子育ては親育て・みのりのもり劇場」だ。
2012年6月、「地域の人と人をつなぐ企画をしよう」と、誌面を通じて物々交換を始めた。初回は、京福電鉄嵐山線(嵐電)の車両をあしらった限定品チョコレートを提供し、交換を呼びかけた。チョコは手作りボードゲームに換わり、次は絵本に。3カ月に一度のペースで交換を繰り返すこと15回。今年3月、テーブルマットが土地付きの一軒家になった。
空き家を提供したのは、同市中…