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日本の閉塞感、ロシアで打破せよ ハリルJの宿題とは

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-9-30 8:18:22  点击:  切换到繁體中文

 

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10月の2試合のメンバーを発表する日本代表のハリルホジッチ監督


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■中西哲生コラム「SPORTS 日本ヂカラ」


中西哲生コラム「SPORTS 日本ヂカラ」


10月6日のニュージーランド、10日のハイチとのサッカー強化試合の日本代表メンバーが発表されました。


来年6月に始まるW杯ロシア大会のメンバーが発表されるのはおそらく5月。ここからの約8カ月間は最終選考に向け、選手をもう一度見直し、本大会での戦い方を考えて実践するための準備期間となります。ここで今までの序列をいったん解いて、選手たちを同じスタートラインに立たせ、選手間の競争を促し、チームをレベルアップさせるためです。W杯出場が決まった9月の戦いの後も、選手たちはそう口にしていましたし。ロシア行きの切符を誰がつかむのか、という戦いがまた始まるのです。


日本がチームとしてまず目指すところは、これまでの最高成績のベスト16より上のステージであるベスト8でしょう。もちろん、視野に入れるべきは優勝です。そうしなければ、ベスト8、ベスト4と勝ち上がっていくことは到底難しく、その場しのぎのサッカーでベスト8にいけるほど、世界トップクラスの国々は甘くありません。


前回2014年のブラジル大会は、1勝もできずに1次リーグで敗退しています。今、日本サッカーを取り巻く空気感がなんとなくよどんでいる理由も、そこにあるかもしれません。10年の南アフリカ大会では、自国開催以外のW杯で初めて1次リーグを突破し、ベスト16に進みました。決勝トーナメント1回戦ではパラグアイ相手に、0―0からPK戦まで持ち込んだことで、希望を持って臨んだブラジル大会でした。そこで惨敗。そこから日本サッカー界が閉塞(へいそく)感に包まれてきたところを、来年のロシア大会でなんとか打破したい。つまり、W杯は「次の4年間」を取り巻く空気を占う面があるのです。20年の東京五輪、22年のカタール大会に向けて、希望の持てる結果を導き出したい大会なのです。


その前回のブラジル大会でハリルホジッチ監督はアルジェリアを率い、ベスト16でドイツに延長戦の末、1―2と惜敗しました。結果的に世界チャンピオンになったドイツを苦しめたことでの評価が、今回日本を率いる一つの理由になったように、彼の本大会での試合の進め方や選手起用に関しては、ある一定の期待感はあります。


具体的に言うと、本大会出場を決めたオーストラリア戦でも、これまでチームの中心だった香川や本田を使わず、一方で、浅野や井手口ら、若手を思いきって使う部分も持ち合わせています。ここからは、現有勢力にプラスアルファとなる選手の発掘と、本大会で安定感のある力を出せる中堅、ベテランの組み合わせを模索する必要があります。


そんな中で迎えた28日の日本代表メンバー発表では、長谷部、本田、岡崎ら、一部のベテランが外れました。もちろんこれは今後選ばないということではなく、コンディション面と、今までメンバーに選んではきたけれど、なかなか使われる機会に恵まれなかった選手を試すための場にしたい、という表れでしょう。そんな中、唯一と言ってもいいフレッシュな選出が川崎の左サイドバックの車屋です。サイドバックは長く若手の突き上げがなかったポジションです。彼のJリーグでのパフォーマンスを見ていると、新しい競争を促せる選手でもあります。


選ばれなかったものの、選ぶ可能性があった選手として、けがをしているヘタフェ(スペイン)の柴崎、横浜マの齋藤、川崎の大島の名前がハリルボジッチ監督からあがりました。この3人はかなりレベルアップしてきていたので、本当に残念ですが、まずは治療に専念してもらいたいところです。


このメンバーで臨む10月の2試合は、W杯予選が各大陸で佳境を迎えていて、マッチメイクが非常に難しい部分がありました。その中でニュージーランドはある程度、力がありますし、オセアニア予選を勝って南米5位と大陸間プレーオフを控えてます。おそらく相手もいい準備をして、かなり高い集中力で戦ってくれるはずです。ハイチは北中米カリブ海の4次予選で敗退したものの、現在最終予選を戦っているコスタリカやパナマを苦しめた国です。


この2試合で良かった選手をピックアップし、11月にはヨーロッパ遠征が控えます。対戦相手として、ヨーロッパ予選をいち早く突破したベルギーやブラジルが挙がっていますが、まずはこのW杯予選で取り組んだことが世界トップクラスを相手に、どこまで通じるかを試したいところです。ハリルホジッチ監督は相手にボールを持たせた状況で、ボールを奪ってそこからタテに速く攻めていくサッカーを志向してきました。こうした強豪が相手であれば、それを出しやすい面もありますし、もし玉砕しても、それを課題として持ち帰ることが出来れば、本大会まで時間的な修正の余地は残されています。


現時点での課題の一つは、そういったリアクションサッカーと逆に、自分たちがボールを保持してパスとコンビネーションで崩していくサッカーです。W杯でも相手によってはボールを持てる、またはボールを持たせられる可能性もあります。10月のハイチはボールを持てる相手です。ニュージーランドも、南米5位とのプレーオフを控え、ボールを持たれる想定で来るかもしれません。そうした部分をこの2試合から、少しずつ構築していく必要もあるでしょう。


そして12月1日の抽選会で、グループリーグの三つの対戦国が決まります。それを受けて来年3月の代表戦で選手を見極め、チームを最終的につくっていくことになります。W杯本大会まで約9カ月、残された時間は決して多くはありません。いよいよW杯を戦うメンバーを決める戦いと、チームを本大会仕様にしていく準備が始まります。



なかにし・てつお 1969年生まれ、名古屋市出身。同志社大から92年、Jリーグ名古屋に入団。97年に当時JFLの川崎へ移籍、主将として99年のJ1昇格の原動力に。2000年に引退後、スポーツジャーナリストとして活躍。07年から15年まで日本サッカー協会特任理事を務め、現在は日本サッカー協会参与。このコラムでは、サッカーを中心とする様々なスポーツを取り上げ、「日本の力」を探っていきます。




 

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