鞆町の古い街並み(広島県福山市教育委員会提供)
文化審議会は20日、江戸時代からの景観が残り、沿岸の埋め立て工事計画が浮上した際に反対論が出て話題になった福山市鞆町(ともちょう)伝統的建造物群保存地区(広島県)など2件を重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)として選定するよう文部科学相に答申した。また、真宗高田派の本山、専修寺(せんじゅじ)(津市)の御影(みえい)堂と如来堂を国宝に、松殿(しょうでん)山荘(京都府宇治市)など7件を重要文化財(重文)に指定するよう答申した。
「ポニョ」舞台、町並み保存本格化へ 鞆の浦、重伝建に
宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」のモデル地ともされる鞆町は、観光名所「鞆の浦」として知られる。海上交通の要所として栄え、伝統的町家や寺社などが残る。1980年代に広島県が表明した架橋計画に反対論が高まり、昨年撤回が決まっていた。
専修寺御影堂は17世紀に建立された、国内に現存する近世建築で屈指の大型仏堂で内部の華やかな装飾や造りが特徴。同じ境内に並ぶ如来堂は18世紀に建ち、禅宗様の外観で知られる。三重県内の建造物では初の国宝指定となる。
ほかの重文、重伝建の新規・追加指定は次の通り。
【重文】旧池田家住宅洋館(秋田県大仙市)▽旧久邇宮邸(聖心女子大学、東京都渋谷区)▽旧石川県第二中学校本館(金沢市)▽北口本宮冨士浅間神社(山梨県富士吉田市)▽旧松本区裁判所庁舎(長野県松本市)▽常願寺川砂防施設(追加、富山市・富山県立山町)
【重伝建】杵築市北台南台伝統的建造物群保存地区(大分県杵築市)(後藤洋平)