発砲事件のあったイオン大野城ショッピングセンター=20日午後4時49分、福岡県大野城市、日吉健吾撮影
20日午後3時ごろ、福岡県大野城市の「イオン大野城ショッピングセンター」の保安室で、万引きをした疑いで事情を聴かれていた男が、警察官から拳銃を奪い取った。その場でもみ合いになり、拳銃から2発が発射された。県警は「どちらが発砲したかは不明」と説明している。発砲によるけが人はいなかった。
春日署によると、男は住所不定、無職野村賢治容疑者(44)。20日午後1時50分ごろ、店内で酒2本(販売価格計324円)を万引きしたとして、男性保安員に窃盗容疑で現行犯逮捕された。
春日署員2人が保安室で野村容疑者から事情を聴いていたところ突然暴れだし、警察官の腰のホルダーから拳銃を奪った。署員らが拳銃を取り戻そうと野村容疑者の手を床に押さえ付けた直後、2発が発射されたという。保安員(62)がもみ合った際に手に軽いけがをした。
イオン九州の広報担当者によると、すぐに野村容疑者が取り押さえられたため安全が確認されたと判断。営業は続け、来店客には周知しなかったという。
長男(5)を連れて店に来ていた40代の主婦は「発砲事件が身近に起こるとは思わなかった。もし子どもの身に何かあったら」と不安げに話した。30代主婦は店内で買い物中に家族から電話があり、発砲事件があったことを知った。「警察官が拳銃を取られるなんて信じられない」と話した。
店の近くに住む男性(66)は、パトカーのサイレンの音がして自宅の窓から外を見ると、警察官がひげの生えた男を連行していたという。「男はうつむき、おとなしい様子だった。家の近くでこんなことが起きて驚いた」と話していた。