福岡市博多区で昨年7月、7億5千万円相当の金塊が盗まれた事件で、窃盗罪などに問われた愛知県日進市の無職、中垣龍一郎被告(41)ら4人の初公判が25日、福岡地裁であった。被告側は実行行為を認めたうえで「(事件は)被害者側と同意していた」などと述べ、無罪を主張した。
起訴状などによると、4人は愛知県の会社役員野口和樹被告(42)=窃盗罪で起訴=らと共謀。昨年7月8日午前9時半ごろ、JR博多駅近くのビル1階で貴金属会社の関係者らから金塊160キロや現金130万円を盗んだなどとされる。
検察は冒頭陳述で、中垣被告が2016年に氏名不詳者から「金塊を奪う計画があり、報酬として(相当額の)半分をもらえる」と持ちかけられたと指摘。被告を含むグループは警察官の格好で関係者らに「(金塊が)密輸品であるかどうか確認する必要がある」と迫り、金塊が入ったケースなどを盗んだと説明した。
一方、弁護側は「被害者側とは事前に金塊を持ち去ることで同意しており、窃盗の犯意はなかった」と述べ、無罪を主張した。
審理が始まったのは中垣被告のほか、工員白石智則(34)=名古屋市北区▽会社役員白根敬大(27)=同市港区▽会社員の内田拓海(25)=同市中区=の3被告。主犯格とされる野口被告と兄の直樹被告(43)、沓掛祐介被告(39)の公判は分離されている。(一條優太、菅原普)