金塊を換金して得た7千万円が奪われそうになった事件の現場を調べる大阪府警の捜査員=4月28日、大阪市中央区、多鹿ちなみ撮影
金塊の密輸入事件が止まらない。増え始めたのは3年前の消費増税後で、税を払わずに持ち込めば大きな利ざやが出るためだ。大阪では換金された大金が狙われる事件が起きた。「これを持っていってくれたら日本に旅行に行けるよ」。犯罪組織に誘われ、安易に運び屋を引き受けてしまう外国人のケースも目立つ。
■換金知り、待ち伏せか
4月28日午後1時過ぎの大阪・ミナミの路上。貴金属店前で、紙袋を手にしていた2人組に、マスク姿の男たちが催涙スプレーをかけた。袋には7千万円。奪おうとして殴り合いになり、怒号が響く。襲撃グループは奪えないまま1人が逃走、1人が動けなくなって病院に運ばれた。その後、襲った側の2人は強盗致傷の疑いで逮捕された。
襲われた2人組は、なぜ大金を持っていたのか。最初は「府内で金塊を受け取り、知らない男に換金してもらった」と府警に説明。府警が防犯カメラ映像などをたどって足取りを確かめると、この日にシンガポール発の便で関西空港に到着していたことがわかった。
捜査関係者によると、2人組は機内で離れた席に座り、別々に帰国手続きを済ませて合流。南海電鉄で難波駅(大阪市中央区)に着くと、そこからタクシーで貴金属店に向かっていた。
貴金属店の前で、金塊15キロが入ったかばんを待っていた男に渡し、店から出てきた男から大金の入った紙袋を受け取った。マスク姿の男たちが2人組を襲ったのはその直後だ。府警は、事前に金塊を2人組が換金することをつかみ、待ち伏せしていたとみている。
関空から移動中、2人組は第三者と接触した形跡がなく、府警は金塊を密輸したと判断し、関税法違反と消費税法違反の疑いで42歳と35歳の男を逮捕した。密輸への関与や経路についてははっきりしていない。府警は背後関係も含め、事件の全容解明をめざす。(大部俊哉)
■来日外国人が週1回は…