外国人観光客らでにぎわう韓国・仁川空港のフードコート。日本で摘発された金塊密輸事件では、フードコートが金塊の受け渡し場所になったケースもある=一條優太撮影
韓国の空の玄関口、仁川(インチョン)空港にあるフードコート。出発便を待つ多くの家族連れでにぎわっていた。ここで、密輸する金塊の受け渡しが行われていた。
金塊密輸「麻薬より低リスク」 国またぐ錬金術の手口
今春、50代の大阪市職員の男が韓国から福岡空港へ金塊を密輸しようとしたとして逮捕、起訴された。
検察の冒頭陳述によると、男はパチンコ仲間から「仕事をしないか」と持ちかけられ、昨年11月に仁川空港へ。フードコートで氏名不詳の人物から金塊3キロ(1350万円相当)を受け取ると、トイレで股間と足の裏に隠し、福岡空港の税関をすりぬけた。
報酬は6万~8万円。男はその後も密輸を繰り返したが、4回目の今年3月、税関検査で見つかった。
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香港で買い付けた金塊が韓国の空港で複数の「運び屋」に渡され、日本へ――。韓国の現地警察も、こうした金塊密輸の実態を把握し、警戒を強めている。
取材に応じた韓国警察の刑事によると、昨年12月~今年3月ごろ、釜山の金海空港から金塊の運び役が頻繁に日本に向かうのを確認した。香港で大量の金塊を買った人物が空港で8人程度の運び屋と落ち合い、4キロほどに小分けして手渡す。この手口で月に3~4回、日本へ密輸していた。
だが受け渡しが行われたのは、出国手続きを済ませた後の旅行者が搭乗便を待つ免税エリア。「そこから韓国国内に持ち込もうとしない限り『密輸』にはならず、韓国の法律では取り締まれない」。仁川空港のフードコートも同様だった。
運び屋はインターネットや大学…