英国に進出する日本企業の幹部らとの懇親会であいさつするフォックス国際貿易担当相=ロンドン
英国の欧州連合(EU)離脱について日系企業の幹部と英国会議員らが意見を交わす懇談会が31日、ロンドンで開かれた。フォックス国際貿易担当相は「日本企業の(事業の)安定や継続性を最大限確保するように努める」と述べ、離脱による混乱回避に向けて日系企業に配慮する姿勢を示した。ただ、離脱交渉は難航しており、企業幹部からは不安の声も漏れた。
懇談会は、在英日本大使館などが開いた。英国には日系企業約1千社が進出しており、参加した日系企業の幹部からは「先行きが不透明で、英国への大型投資はしばらく慎重にならざるを得ない」といった声が聞かれた。在英日本商工会議所の久米敦司会頭(三井物産専務執行役員)は「会員企業からはこれまでと同じようにビジネスを続けられるように求める声が多い。英国の関係機関に日本大使館の協力を得て働きかけをしていきたい」と話した。
英政府は2019年3月末の離脱を目指してEU側と交渉を続けている。英政府は10月に離脱後の貿易ルールなどの交渉に入ることを目指していたが、EU予算の取り扱いなどほかの交渉が難航し、早くても12月にずれ込む見通しだ。(ロンドン=寺西和男)