歩行器がリモコン操作でベッドのわきまで自動走行する。スイッチを操作すると、ベッドと持ち手が適切な高さまで上がる=北九州市小倉北区、井石栄司撮影
北九州市に本社のあるTOTO、安川電機と、パラマウントベッド(東京)が連携し、排泄(はいせつ)に手助けが必要な人を支援する装置を試作した。ベッドや歩行器などをうまく連動させて移動の負担などを軽くするねらいで、市の補助などを受けて実用化をめざす。
国家戦略特区で介護現場へのロボット導入をめざす市が、福祉施設で検証を重ねたところ、介護職員の作業のうち排泄の介助が12%(夜間は24%)を占め、負担となっていることがわかった。市は、介護が必要な人がスムーズに用を足すには介護ベッドや歩行器などをパッケージ化する必要があると考え、3社に共同開発を持ちかけた。
試作装置は、16日に同市内の西日本総合展示場で始まった西日本国際福祉機器展で公開した。介助があれば歩ける人と、歩くことが難しい人向けに、2通りの使い方ができる。
歩ける人向けには、まずベッドの背面が上がり、起床を補助する。リモコンで歩行器を呼び出すと、ベッドと歩行器の持ち手が、歩き出すのに最適な高さまで上がる。歩行器を押してトイレに行くとお尻を支えるように便座が上がり、ひざに負担をかけずに座れる。
歩くのが難しい人向けでは、就寝時に可動式のトイレをベッド脇にセット。ベッドから起き上がり、横滑りするようにして便座に座れる。トイレは下水管とホースでつながっており、必要に応じて動かせる。
今後、一連の流れを一つのリモコンで操作できるようにするなどの改良を進める。福祉施設で来年度から実証実験を進め、無駄な機能を省くなどし、できるだけ価格を抑えるようにしたいという。(井石栄司)