車いすに座り、参加した看護師や理学療法士らと触れ合う畠山亮夏さん。笑みもこぼれた=2018年3月、大阪府豊中市、藤波優撮影
高校を卒業したばかりの脳性まひの少年が、思うように動かない自分の体を「生きる教科書」として介護の出前講師を始めた。同じ症状の人への接し方を学ぶことで、現役の介護スタッフや学生にも介護の楽しさを知って欲しいと願う。
3月中旬、大阪府豊中市の障害児施設。看護師や理学療法士ら約10人の輪の中心に畠山亮夏(りょうか)さん(18)=大阪市西淀川区=がいた。この日が講師としてのデビューだ。
全身の筋肉が緊張し意思とは関係なく体が動いてしまう「アテトーゼ型」の脳性まひ。短い単語ならゆっくり話せるものの、周囲とのコミュニケーションは選択肢を示してもらったり、表情を読み取ってもらったりすることで行う。
支えがない状態で床に横たえられると手足がばたついてしまう。でも後ろから支えられると安定してあぐらをかくことができた。亮夏さんは「いい!」と笑顔。体勢が落ち着かない時は「違う!」「もっと下」と眉間(みけん)にしわを寄せた。
「リアルタイムで反応がわかったのが良かった。話しかけながら一緒にやることが大切と気づいた」と理学療法士の平山哲也さん(33)。亮夏さんはアドバイスをうまく伝えられなかったようで反省していたが、周りに拍手されると満足そうな笑顔になった。
自らの体で介護を学んでもらう――。きっかけをくれたのは、母の織恵さん(38)だった。
亮夏さんは府立高校の自立支援…