先発登板し、初勝利したエンゼルスの大谷=白井伸洋撮影
(1日、大リーグ エンゼルス7―4アスレチックス)
真っ青な空の下、大谷翔平は本格的な投打「二刀流」の始動となるマウンドへ向かった。「すごく周りが近く感じた」。苦しんだ3月のうっぷんを晴らすかのように、立ち上がりから、力強く右腕を振る。
先頭のセミエンへの初球は96マイル(約154キロ)を計測した。フォークで空振り三振に仕留めると、続くローリーは直球で押して捕邪飛に。3番オルソンに対する第1球は、この日最速となる100マイル(約160キロ)をたたき出した。
二回1死一、二塁から昨季14本塁打のチャプマンに3ランを浴びる。「先制点を取ってもらった直後に逆転されてしまうのは、流れ的にすごくよくない」と、反省はしても、引きずらない。三回以降に出した走者は四球の一つのみで、二塁を踏ませなかった。
開幕前の実戦では、13イニングで19失点。滑りやすいとされる大リーグの公式球を、湿度10%台のアリゾナでは制御しきれなかった。しかし、時折カモメが舞うアスレチックスの本拠は、適度な湿気が心地よい。登板前に「すごく投げやすいんじゃないかなとは、見たところ思っていたので」と話した通り、予感的中の好投だった。
六回を投げ終えてベンチに戻ると、捕手のマルドナドや、主軸打者のプホルスに囲まれ、次々にねぎらいを受けた。「スピードだけでなく、すべてを使った。二回以外は言うことがなかった」とソーシア監督。不安を消し去り、チーム全体からの信頼をつかんだ。(オークランド=山下弘展)