豪栄道(左)は松鳳山を引き落としで破る=小林一茂撮影
(16日、春場所6日目)
相撲特集:どすこいタイムズ
魁聖の勢いが止まらない。194センチ、205キロの巨体で迷いなく前に出る。それだけで破壊力は抜群だ。この日も大栄翔に当たり勝ち。たまらず引いた相手を両手で一突き。「足が出た。腕も伸びた」。160キロをはじき飛ばした。
初日からの6連勝は新入幕だった2011年5月の技量審査場所以来。「久しぶりですねー。どうしたのかな」。温厚で陽気な性格の31歳は豪快に笑った。
本名は菅野リカルド。ブラジル・サンパウロ出身で、祖父母が日本人の日系3世だ。「父さんに朝からやらされて嫌になった」とサッカーは苦手。テレビで見た魁皇(現浅香山親方)に憧れて相撲を始め、同じ友綱部屋の門をたたいた。
「性格がのんびりしているからスロー出世だった」と先代友綱親方(元関脇魁輝、現大島親方)が言うように、06年秋場所の初土俵から10年かけて16年名古屋場所で関脇に昇進した。右ひざのけがで一時は十両に転落したが、再入幕後は3場所連続で勝ち越しと復調気味。東前頭6枚目で迎えた今場所は番付を上位に戻す絶好のチャンスでもある。
勝ちっ放しは鶴竜と2人だけになった。この日、優勝争いの話題を振られると、両耳を手でおさえて「ワーッ」。聞こえないふりで報道陣を笑わせた。底抜けに明るい魁聖の活躍が続けば、浪速の土俵はさらに盛り上がる。(岩佐友)
●松鳳山 豪栄道の引き技に屈し、初黒星。「連勝は止まるもの。大関に引かせたし、内容が良ければそれで良いっすね」
○鶴竜 飛び込んできた琴奨菊をタイミング良く突き落とし。「反応した感じ。しっかり集中できているかな」
●勢 4連勝のあと2連敗。「出ていってはたかれた昨日のイメージが残ってて、受けてしまいました。悪いとこは出しきったから、またあしたから」
○玉鷲 荒鷲との「イーグル対決」に完勝し、連敗を3で止める。「変化でくると思ったから、相手を見て仕切ったよ」
○栃ノ心 柔道の元ヨーロッパジュニア王者が豪快な“内股”。ぶっとい右足で遠藤を浮かせた。「柔道の技、使っちゃったよ。若いころを思い出した」