大阪府教育庁は29日、すべての府立高校を対象に生徒の髪の色などをめぐる指導についてアンケートした結果を公表した。定時制・通信制をのぞく全日制137校のうち8割が、地毛が黒くない生徒に対し、入学時に口頭や書類の提出などによって髪の色の申告を求めていた。
調査は、生まれつき茶色い髪を黒く染めるよう教諭らから指導され不登校になったとして府立高の女子生徒が府を相手に訴訟を起こしたことをふまえ、各校の指導実態を把握することを目的に行われた。今回の調査では、「生来の髪の色を変えるように学校が求めたことがあるか」との質問も盛り込まれたが、回答した学校はなかった。
8割の高校が行っていた地毛が黒くない生徒の髪色の確認については、口頭での申告が74校、書類などの提出を求めている学校は35校あった。35校のうち3校はもとの髪色がわかる写真の提出を求めていた。府教育庁はこの対応について「『生徒や保護者の納得感』という観点に基づき、各学校において検討されるべきものである」としている。
また、過去3年間に髪の色やパーマ、髪形について指導した学校は84校あり、複数回答で「髪を生まれつきの色に戻す」が48%、「髪を改善してから登校する」が39%、「行事への参加の制限」が18%、「授業への出席の制限」が16%だった。
府教育庁は調査結果について「頭髪指導について、不適切と思われる校則や指導方針は見られなかった」としたが、生徒や保護者に丁寧な説明をすることが重要だとしている。(沢木香織)