学校や教員の仕事の「仕分け」
文部科学省は公立学校の教員の長時間労働を緩和するため、勤務時間の上限を検討し、ガイドラインとして学校現場に示す方針を決めた。来年前半にも作成するという。数値目標を出すことで、多くの教員が「過労死ライン」の勤務時間に達している現状を改める狙いがある。
教員の働き方改革を議論する中央教育審議会の会議で28日、中間まとめ案が示され、おおむね了承された。この案に文科省がガイドラインを示すことなどが盛り込まれた。
文科省の2016年度の調査では、残業が月80時間以上の状態が続いているなど「過労死ライン」に達している教諭が小学校で34%、中学校で58%に上った。長時間労働への危機感が高まるなか、「残業は月45時間以下」(長野県)、「週の在校時間が60時間を超す教員をゼロにする」(東京都)などの目標を打ち出す教育委員会も出ており、文科省はこうした例を参考に上限の検討を進めるという。また、学校現場に対しては、勤務時間の適切な管理を求める。
中間まとめ案では、学校や教員が担ってきた、授業以外の仕事も「仕分け」した。例えば「登下校の通学路の見守り」「放課後や夜間の見回り」などは学校以外が担い、教員の負担減につなげるべきだとしている。とりわけ中学で教員の負担となっている「部活動の指導」は、外部指導員の活用を広め、将来的には学校ではなく地域が担うことも提案した。
教育行政の要求により、学校現場の仕事が次々と増やされてきたことへの「反省」にも言及した。中間まとめ案では、文科省が新たな業務を加えるような制度改正をする場合は、既にある業務と調整する必要があるとして、教員の仕事量を一元的に把握・管理する部署が文科省内に必要だと指摘した。
教員の長時間労働をめぐり、政府は6月に閣議決定した「骨太の方針」で「年末までに緊急対策を取りまとめる」としていた。これまでの中教審の議論を踏まえ、文科省は来月中に緊急対策をまとめる方針だ。(根岸拓朗)