国土交通省は1日、政府の財政投融資(財投)による資金1・5兆円を高速道路の建設に使うよう財務省に要求したと発表した。物流施設が集積する首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などで未整備区間の建設を早める。財務省は応じる見通しだ。一般会計の公共工事予算が頭打ちになる中、財投を使った非効率な公共事業が復活する懸念もある。
石井啓一国交相が1日の閣議後会見で明らかにした。石井氏は、「物流ネットワークの核となる高速道路などの整備を加速することで、生産性を大きく押し上げられる」と述べた。
財投は、国債の発行で集めたお金などを原資に融資する仕組みで、「第二の予算」とも呼ばれる。国交省は、高速道路を保有する独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に1・5兆円、固定金利で40年間貸し付けることを財務省に要望した。
高速道路は「上下分離」方式が導入され、高速各社が資金調達して道路を建設し、完成したら債務とともに機構に引き渡す。機構は道路を高速各社に貸し、賃借料を受け取る。機構はそのお金で債務を返済する。
金融緩和で低金利になっているため、国交省は、財投の1・5兆円の金利を1%程度と想定。機構が自力で調達した場合は将来的に4%程度になるとして、機構は40年間で約1兆円の金利負担が減ると主張している。機構はその分、高速各社から道路建設の際の債務をより多く引き受けられ、高速各社は工事を前倒しで進められるとしている。
要求を受け、財務省は12月中にまとめる2018年度の財政投融資計画に盛り込む方向で検討する。