13日、連邦公開市場委員会(FOMC)の会合後に記者会見するFRBのイエレン議長=ロイター
米連邦準備制度理事会(FRB)は13日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0・25%幅引き上げると決めた。追加利上げは6月以来半年ぶりで、今年3回目。短期金利の指標となるフェデラルファンド金利の誘導目標を「年1・00~1・25%」から「年1・25~1・50%」に引き上げる。好調な米国経済の状況を受け、FRBは9月の資産縮小決定に続く追加利上げを市場予想通りに決定。順調に金融緩和の「出口」に向かっている。
投票メンバー9人のうち7人が賛成し、2人が現状維持を主張して反対した。2018年の想定利上げペースは、「年3回」としてきた従来見通しを維持した。
FOMCは声明で、米経済は労働市場や消費、設備投資が改善を続けており、「着実に拡大している」と評価した。トランプ政権がめざす減税などの効果も踏まえ、18年の経済見通しを上方修正。国内総生産(GDP)成長率を従来の年2・1%から2・5%に、失業率も同4・1%から3・9%に改めた。
物価上昇率は19年に目標の2%に達するという見通しを維持した。米国など先進国では、大規模な金融緩和にもかかわらず、物価が上がりにくい状況が続いている。来年2月に退任するFRBのイエレン議長は、FOMC後では最後の記者会見を行い、「インフレを起こす要因に対する我々の理解は不完全で、注視していく」と述べた。同議長の利上げ判断は今回が最後となる見込みだ。次期議長に指名されたパウエルFRB理事は、いまの「緩やかな利上げ」路線を受け継ぐ姿勢を示している。
FRBは08年の金融危機後にゼロ金利政策や量的緩和政策を行い、14年秋に量的緩和を終了。15年末に利上げを再開した。最近は景気拡大が続き、過熱を避けるため利上げペースを速めている。(ニューヨーク=江渕崇)