店舗兼自宅があった場所に立つ平沢惣一郎さん=新潟県糸魚川市大町1丁目
新潟県糸魚川市の中心街で計147棟が焼けた大規模火災から22日で1年。被災地では「若者や子育て世代が集いたい街づくり」が動き出している。旗を振るのは、火災の第1通報者で、火元のラーメン店の隣で精肉店を営んでいた平沢惣一郎さん(76)だ。
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昨年12月22日午前10時半ごろ。ラーメン店の男性店主が「火事だ!」と飛び込んできた。すぐに119番通報した。自宅のホースで消そうとしたが、無理だった。店舗を兼ねた自宅は全焼。「後継ぎはおらず、借金をしてまで再建する気力もなかった」。70年前から続く店を閉めた。
大火を機に廃業する人もいれば、中心街を去る人もいた。がれきが撤去されて更地になり、人通りがこれまで以上に減った。
平沢さんは中心街から離れた知人のアパートの一室を借りて暮らし始めたが、「何とかして、にぎやかな街を」という思いが募り、今年4月の市議選に初めて立候補し、当選した。ただ一人の「被災者市議」として、議会では「被災者の意見をよく聞いて復興を」と繰り返し訴えている。
市主導でつくられた復興計画は…