柏崎刈羽6、7号機の今後の流れ
原子力規制委員会は27日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が新規制基準を満たすと認める審査書を正式決定し、安全対策の基本方針を許可した。事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型の原発では初めてで、東電でも初となる。新基準への適合が認められた原発は7原発14基となった。ただ、新潟県の米山隆一知事は、県独自の事故検証などを終える3~4年後まで地元同意の判断をしない方針を示している。
柏崎刈羽原発、新基準適合を了承 規制委、異論出ず
審査では、原発事故を起こした東電が再び原発を運転する「適格性」があるかが最大の焦点になった。規制委は7月、東電の経営陣を呼んで安全に対する姿勢を聴き、東電は8月、「福島第一原発の廃炉をやり遂げる覚悟。経済性を優先して安全性をおろそかにしない」などとした文書を提出した。規制委はこの安全姿勢を、原発の運転手順などを定める保安規定の審査で確認するとし、10月に審査書案をまとめた。
この日の定例会では、審査書案に対して寄せられた一般からの904件の意見が公表された。「東電の企業体質は改善されていない」「一片の文書だけでお墨付きを与えるのか」「精神論が並べられているだけで具体的計画が見えない」といった疑問や意見が数百件あったという。規制委は審査で東電の技術的能力を確認したほか、今後も保安規定の審査を通じて適格性を担保していくとして、審査書を正式決定した。
今後の焦点は、適格性や安全姿勢といった抽象的な考え方を、保安規定にどう盛り込むのかや、審査でどう見極めるのかに移る。規制委は再稼働後も、検査を通じてチェックし、問題があれば運転停止などのペナルティーを科す方針だが、実際にどう運用するのかといった実効性も課題だ。(小川裕介、東山正宜)