記者の質問に答える小野寺五典防衛相=5日午前11時26分、首相官邸、岩下毅撮影
米韓が毎春実施する合同軍事演習を平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピック後に延期することで合意した。トランプ米大統領は「文在寅(ムンジェイン)大統領を百%支持する」と語ったが、南北関係改善にはやる韓国に対する日米の視線は冷ややかだ。北朝鮮が核放棄に関心を示さないなか、9日に再開する南北協議の行方は見通せない。(牧野愛博=ソウル、土佐茂生=ワシントン、松井望美)
日米と韓国を引きはがす北朝鮮の思惑
北朝鮮は昨年、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を繰り返し、対話にも関心を示さなかった。しかし、1日の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の新年の辞から、変化を見せた。
北朝鮮の祖国平和統一委員会ウェブサイト「わが民族同士」は3日の声明で、初めて「文在寅大統領」と正式呼称で呼び、韓国への急接近を印象づけた。
韓国政府関係者らによれば、昨秋ごろから、与党の議員や首長らが中国などで相次ぎ、北朝鮮関係者と接触。南北対話路線に意欲を示す文政権の姿勢を繰り返し説いてきた。正恩氏も接近する韓国は「くみしやすい」とみて、南北対話にかじを切ったとみられる。
一方、朝鮮中央通信によれば、4日付の政府機関紙「民主朝鮮」は日本の独自制裁を批判し、「米国全土が朝鮮の核の攻撃圏内にある今、日本を焦土化するのはたやすいことだ」と主張。圧力強化を訴える日本や米国には強硬姿勢を示し、韓国と日米を引きはがす思惑を浮き彫りにした。
北朝鮮が南北高官協議で最も期…