第1弾CDを手にする潮晴男さん(左)と麻倉怜士さん。バックはリハーサル中の情家みえさんら
2人の著名なオーディオ評論家が、高音質を売りにしたレコード会社「ウルトラアート(UA)レコード」を設立した。既存のCDプレーヤーでも再生できる高音質の「UHQCD」という仕様を採用。録音時の臨場感を生かすため、すべて一発どりで余分な編集や加工をしないのが特徴だ。国内ジャズを中心にタイトルを増やし、アナログLPレコードも発売する。
会社をつくったのは、潮晴男さん(66)と麻倉怜士さん(67)。社名の略称UAは両氏の頭文字でもある。第1弾として、ジャズボーカリスト、情家(じょうけ)みえさんのアルバム「エトレーヌ」を17日に発売する。
オーディオ機器のよしあしを、音の良さを売りにした既製のチェック用レコードで検証するのではなく、自分たちで評価する物差しを持ちたかったのがきっかけ。高音質の追求だけでなく、「盛り込む音楽の中身も充実させ、音楽ファンが満足する良い音をつくる」と麻倉さん。潮さんは、「ダビング(複製)を重ねると緊張感が乏しくなる。録音ブースに入ってアイコンタクトで『せーの』で一気にとります」。
若者の間では、インターネット経由でスマートフォンやパソコンで音楽を聴くのが一般的。だが「音質は良くない。ジャケットデザインを含めた総合的なパッケージメディアの魅力を伝えたい」(麻倉さん)のも会社設立の動機の一つという。CD販売が減少し、ネット経由の音楽鑑賞に傾く時代の流れにあらがう。(大鹿靖明)