成人祝いで西新井大師を訪れた施設の出身者ら=14日午後、東京都足立区、仙波理撮影
東京都内のある児童養護施設で14日、出身者の成人を祝う会が開かれた。施設は原則18歳で出なければならず、退所後の社会的な支援も十分ではない。「ひとりじゃないよ」。そう伝えるため、当時の理事長の女性らが4年前に始めた。善意で寄せられた振り袖に身を包んだ新成人の門出を、職員や先輩が祝った。
施設の2階にあるホール。今年成人式を迎えた施設出身の男女7人が次々とやって来た。職員や先輩から歓声が上がる。「今、何してるの?」。話題はそれぞれの近況に移った。バイト、大学、就職、結婚……久しぶりの再会に話は盛り上がった。
児童福祉法上、施設で暮らせるのは原則18歳まで。退所後は親に頼れず、生活が行き詰まる子もいる。未成年者は保護者の同意がなければ賃貸住宅や携帯電話の契約もできない。
「退所後もケアを続けよう」と、施設を運営する社会福祉法人の当時の理事長、坂本輝子さん(64)が呼びかけ、「成人を祝う会」を始めた。今年で5回目だ。
新成人の着付けやヘアメイクはボランティアの女性6人が担った。振り袖は坂本さんの知人らから施設に無償で提供されたものだ。
施設を出た後、アルバイトで生計を立てて一人暮らしをする女性(20)は「晴れ着を着たかった。自分で借りるお金がなかったからうれしい」と喜んだ。
看護助手の日下里和さん(19…