国際通貨基金（IMF）は最新の「世界経済見通し」で、2020年に世界経済は深い後退局面に置かれ、貿易・投資規制措置の増加、地政学的不安定性の上昇といった要因が経済回復を遅らせると指摘した。だが、全世界の発展に関わる極めて重要な時期においてもなお、米国は困難を他国に押しつける経済・貿易政策を取り、保護主義と一国主義を頑なに実行し、ほしいままに制裁の圧力を振りかざして、世界経済の安全を深刻に脅かしている。（人民日報「鐘声」国際論評）

近年、米国はしきりに経済・貿易摩擦を一方的に仕掛け、エスカレートさせ、関税を武器にし、貿易と投資の自由化及び円滑化のプロセスを損ない、世界経済に重い代償を負わせている。米国は長年にわたり、国内法に基づき他国に対して一方的な制裁といわゆる「管轄権の域外適用」を実施してきた。日本の東芝、ドイツのシーメンス、フランスのアルストムといった、いわゆる米国の同盟国の企業ですら、かつてその「巻き狩り」の標的にされた。米国のいわゆる「管轄権の域外適用」行為が唯我独尊の利己的な覇権主義的論理であり、米国が他国の合法的権益に損害を与え、国際法と国際関係の基本準則を踏みにじるのを放置しておけば、最終的な結果として必然的に各国の共同発展が妨げられるということを、国際社会はより明確に認識するようになってきている。

現在、米国は「国家安全保障」の概念を普遍化し続け、「科学技術冷戦」の発動を企て、国家の力を濫用して他国の特定のテクノロジー企業を叩き、発展を先導する最大の推進力であるイノベーションの働きを深刻に脅かしている。特に警戒すべきは、米国が市場経済原則と世界貿易機関（WTO）のオープン・透明・無差別という原則に背いて、特定の中国企業を封じ込め、叩き、世界の資金・技術・製品・産業・人員の移動を人為的に断ち切ろうと愚かにももくろみ、世界の産業チェーンとサプライチェーンの安定を深刻に破壊していることだ。

世界最大の経済大国であり国際通貨ドルを掌握している米国は、本来なら世界において「能力が大きいほど、責任も大きい」とのイメージを示すべきだ。だがそれと正反対に、経済力と米ドルの覇権的地位を再三濫用し、何かというと他国に対して経済封鎖や金融制裁といった一方的な強制措置を講じ、制裁対象国の経済発展と民生改善の能力に深刻な損害を与えている。

強調すべきは、現在新型コロナウイルス感染症が世界経済の発展に深刻な試練をもたらしており、各国の団結・協力と協調的行動が差し迫って必要だということだ。ゼロサムゲームは行き詰まるし、覇権的思考を求めている者もいない。（編集NA）

「人民網日本語版」2020年10月29日