「B.S.R」のライブの様子=石川徹さん提供
ラブユー東京、大阪で生まれた女、恋の町札幌、長崎は今日も雨だった、ブルー・ライト・ヨコハマ――。主な都市には、街を代表する全国区の歌がある。では名古屋には? ご心配なく。これから次々に生まれるかもしれない。「歌を通して名古屋の魅力を発信したい」と地道に活動を続ける人たちがいるからだ。
「AH 行かなくちゃ 行かなくちゃ あんたのもとへ この世界が燃えたぎるような あたいは 今池の女」
1994年から名古屋を中心に活動を続けるアマチュアロックバンド「B.S.R.」の代表曲は、名古屋市千種区の地名を冠した「今池の女」だ。燃えるような恋と女心を歌った激しいロックナンバー。ライブでは必ず演奏し、一番の盛り上がりを見せる。
「東京や大阪にはすぐに思いつく曲があるのに、名古屋にはない。それなら自分で広めようと思って作った」と、リーダーの石川徹さん(50)は話す。
メンバー5人全員が愛知県出身。オリジナリティーを求めていた97年、地元「名古屋」を歌うことを決めた。舞台に選んだのは、ライブハウスのある「今池」だった。「雑多で面白い街。若者もいれば昔から商売をするお年寄りもいて多種多様。この街を歌うことはロックだ」。恋をする女の視線を通して、今池の街からあふれるエネルギーを表現した。
曲の完成から今年で約20年。これまで有線で1万回以上流れた。東京や大阪からも「『今池の女』が聴きたい」と出演依頼が来たり、東北のファンから手紙が届いたり。名古屋の曲として認知されつつある。
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