英国絡みの主なタックスヘイブンと金融秘匿ランキング
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が手がけた「パラダイス文書」で、著名人や企業の投資先に英領バミューダ諸島や英王室属領ジャージー島などが並んだ。いずれもタックスヘイブン(租税回避地)として知られる地域だ。世界有数の金融センターであるロンドンを抱える英国は、海外領土と金融取引で強く結びついている。英国内では政府に是正策を迫る声が高まっている。
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パラダイス文書では、エリザベス英女王の個人資産も英領ケイマン諸島のファンドで運用されていたことが判明し、注目が集まっている。
英国は計14の海外領がある。また英王室属領も三つある。これは英国王が伝統的に領有し、高い自治権を持つ土地だ。多くは法人税率や金融取引にかかる税率を抑え、取引をめぐる情報公開度が低い「タックスヘイブン」で知られる。
海外領や王室属領の多くは第2次大戦後、金融業に重点を置いた。金融センターであるロンドンとの結びつきからだ。バミューダ諸島は保険会社、ジャージー島は銀行や投資ファンドが多いなど、それぞれ特徴がある。投資家に有利なしくみを競い合うように作り、外国から資金を呼び込んできた。そうした資金は、金融取引などを通じて英国に流れている。
英シンクタンク「キャピタル・エコノミクス」の試算によると、人口約10万人のジャージー島を通じた外国から英国への投資は2014年で総額5千億ポンド(約75兆円)に上り、外国の投資家が英国で手に入れた資産全体の約5%を占めた。人口約3万人の英領バージン諸島にある企業を介しては、15年に約1690億ドル(約19兆円)の投資が英国に向かったという。
国際NGO「グローバル・ウイットネス」(本部・英国)のマリー・ワーシィー氏は「英国と海外領は相互に支え合うシステムになっている」という。欧州連合(EU)離脱を控えて英経済に陰りが見えるなか、「より重要な位置づけになっている」とも指摘する。
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