福井市立郷土歴史博物館で開かれたチョコづくり=同館提供
バレンタインデーに古代風のチョコはいかが――。古墳から出土し、邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)が中国の魏から贈られたとの説もある古代の鏡「三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」。その実物から型を起こして作る「三角縁神獣鏡チョコレート」のワークショップが広がっている。
福井市立郷土歴史博物館で2011年、市内の古墳から出土した鏡の型に、学芸員が思いつきでチョコを流し込んだのが始まりだ。13年からワークショップとして定着。金属の光沢の表現のため、パールパウダーをふりかけるなど本物に似せる技術も向上し、そっくりの見た目がインスタグラムなどSNSを通じて評判に。毎年2月に開催し、36組の定員に多い時で200組以上が応募がある人気企画となった。「バレンタイン用にする人もいます」と同館学芸員の松村知也さん(42)。今年は2月の開催予定が大雪のため3月に延期された。
ワークショップ開催は、大阪、熊本、静岡など全国十カ所以上の博物館などに広がった。1月末に開いた浜松市文化財課の井口智博さん(40)は「年配の人が多い普通の考古学講座とは違って、若い世代の人たちが足を運んでくれる。子ども連れの人も多い」。
同市では今月下旬、チョコなどを使って古代の塔の一種「瓦塔(がとう)」を製作する「瓦塔ショコラ」作りを計画中。スイーツで考古学を学ぶ試みは、より多様化していきそうだ。(編集委員・宮代栄一)