京都府から改善勧告を受けた特別養護老人ホーム「安寿の里」=16日午後4時32分、京都府宮津市由良、寺脇毅撮影
京都府は16日、特別養護老人ホーム「安寿(あんじゅ)の里」(同府宮津市)の職員が、90代の入所女性を虐待したとして、施設を運営する社会福祉法人「香南会」(高知県香南市)に改善勧告をした。
府や宮津市によると、女性は昨年12月、施設のベッドから落ち、全身打撲を負って宮津市内の病院を受診した際、医師が虐待を疑い市に通報した。府と市の聞き取りに、担当職員は暴力を否定。だが、ベッドから転落後、施設の内規で2人で介助すべきところを1人で行っていたことが判明した。市は職員が内規に反して1人で女性をベッドに戻す際、体に無理な力が加わりけがにつながったとして高齢者虐待防止法に基づき虐待と認定した。
また、2016年1月ごろから今年2月にかけて、70~100代の入所者16人が不自然なけがを負うなどしていたことが判明。5人が骨折し、体に多数のあざや皮下出血が見つかった入所者もいたという。暴言を浴びせられたり、無理な体勢で放置(ネグレクト)されたりしたケースも確認されたという。府と市は虐待が疑われる事例として調べ、暴行が確認されれば刑事告発も検討する。
法人の橋本信一理事長は朝日新聞の取材に「暴行の事実は一切ない。改善勧告は受け入れられない」と話した。