決勝の対局後、大盤解説会場であいさつする優勝の於之瑩六段(右)と準優勝の黒嘉嘉七段=東京・市ケ谷の日本棋院
日中韓台湾の女流トップ棋士が集まった囲碁の世界戦「ワールド碁女流最強戦2018」は16日、東京・市ケ谷の日本棋院で決勝が打たれ、中国代表の於之瑩(オ・シエイ)六段(20)が台湾代表の黒嘉嘉(コク・カカ)七段(23)を破って優勝した。タレント活動もしつつ台湾トップクラスの女性棋士として注目を集めた黒七段は「日本のファンにも応援してもらってうれしかった」と話した。
日本代表の藤沢里菜女流三冠(19)は3位決定戦で韓国代表の崔精(チェ・ジョン)九段(21)に敗れ、4位に終わった。
日本主催の初の女流世界戦には8人が出場。黒七段は、於六段、崔九段の中韓“2強”に割って入る大健闘だった。
黒七段はオーストラリアのブリスベン出身。オーストラリア人の父、台湾人の母の間に生まれた。囲碁を覚えたのは6歳の時。母が五目並べを学ばせようとしたが、囲碁教室しか見つからず、入門したところ熱中したという。
2010年にプロ入りし、台湾棋院に所属。一昨年末に現地の芸能事務所に入り、タレント活動も始めた。台湾のオートバイメーカー「キムコ」のイメージキャラクターで、CMやスポーツ大会の始球式などに引っ張りだこだという。
棋力も台湾トップクラスで、中国の女子世界戦「第1回穹窿山兵聖(きゅうりゅうざんへいせい)杯」(10年)で準優勝。それ以来となる世界戦の決勝進出に「自分でも意外でうれしかった。碁の一番の魅力は何千年もの歴史がありながら、どんどん変化しているところ」と話した。
藤沢女流三冠は「日本初の世界戦だっただけに、結果を残せなかったことに悔しさがいっぱい。世界の壁を乗り越えられるよう、一から気持ちを新たにして努力します」と話した。(大出公二)