引退会見にのぞむ金藤理絵=16日、岐阜県庁
リオデジャネイロ五輪の競泳女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した29歳の金藤理絵(ぎふ瑞穂スポーツガーデン)が16日、引退会見を岐阜市内で開いた。「リオ五輪後、やりきったという気持ちが大きかった」と心境を語った。また、昨年、出身の東海大水泳部の先輩と結婚したことも明らかにした。
五輪後は競技を続けるかどうか悩んでいた。全国各地で講演会や水泳指導をする中で、サポートする側につきたいという気持ちが募ったという。来月に日本選手権を控え、「中途半端な気持ちではなく、答えを出さないといけない時期」と決断に至った経緯を語った。
会見では目を潤ませる場面もあった。一番感謝を伝えたい相手には加藤健志コーチを挙げた。
2007年、東海大入学前のグアム合宿で、加藤コーチから「(当時の世界記録より速い)2分20秒切れる」と言われたという。「面白いこと言うコーチと思っていたが、自分の見えないところまで見てくれているのがうれしかった。私の中で世界と向き合うきっかけとなった言葉だった」と振り返った。「加藤コーチだったから、やめたい時もつなぎとどめてくれた」と、感謝の気持ちを伝えた。
会見に同席した加藤コーチも「最大目標である五輪で金をとれてよかった。やり残したことは、これからの人生のエネルギーにしてほしい」とエールを送った。
「選手を引退する=水泳がなくなるわけではない。競泳ではなくなるが、金藤理絵=水泳でつながるような人生にしたい」と金藤。これからは岐阜を中心に後進の育成にあたる。来年度から、所属のぎふ瑞穂スポーツガーデンで定期的に水泳教室を開く。「夢を持つことや、そこに向けてどうやったら進んでいけるか、アドバイスをしていきたい」と語った。
金藤は広島県庄原市出身。県立三次高から東海大に進み、同大学院修了。08年北京五輪に初出場して7位。12年ロンドン五輪は代表を逃したが、16年リオ五輪で再び代表になり、金メダルを獲得した。(浅野有美)