衆院予算委での証人喚問を終え、国会を出る佐川宣寿・前国税庁長官(中央)=27日午後4時15分、小玉重隆撮影
佐川氏の証人喚問を、かつての同僚たちはどう見たのか。
「(決裁文書で)総理夫人の名前を見たのかすら言わなかったのは、すごいと思った」。財務省のある中堅幹部は驚いた。理財局の責任を強調する姿勢に「部下が勝手にやったと罪に問われかねない。尻尾のさらに尻尾切りになるし、この期に及んで何なんだという気はする」と語った。
佐川氏は東大経済学部を出て、1982年4月に大蔵省(現・財務省)に入った。福田淳一財務次官や迫田英典・元国税庁長官が入省同期で、他省庁では、経済産業省出身で安倍晋三首相の側近の今井尚哉首相秘書官も同期だ。税制改正を担当する主税畑が長く、大阪国税局長、国税庁次長を歴任。厳しい仕事ぶりで知られ、職員の間で出回る怖い上司の「番付表」で、上位に名を連ねたことがあるという。
福島県いわき市出身で、2012年2月に復興庁が発足した際の初代審議官だった。途中で政権は代わったが、当時の復興庁幹部は「民主党でも自民党でも、政権の指示には極めて忠実だった」と振り返る。
大阪国税局長当時を知る同局職員によると、説明や資料が不十分だと幹部でも「出てけ」と突き放すが、萎縮せず「現場の意見」を進言するノンキャリア職員は重用。「ごまかしがきかず、良くも悪くも緊張感があった」。いい加減な仕事をした部下に「誰のために仕事しているんだ。俺じゃなくて納税者のためだろう」と叱る姿を覚えている職員もいる。
証人喚問をテレビで見た同局職…