「ゴールド・アーツ・クラブ」ワークショップ成果発表の稽古
高齢者の孤立を防ぎ、社会とつなぐため、劇場ができることは何か。演出家の故・蜷川幸雄さんが生前、高齢者演劇集団を作った彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市)が、高齢者による表現活動に力を入れている。今年度、60歳以上が演劇やダンスに親しむプログラムを始め、先進地・英国の劇場関係者を招いたシンポジウムも開いた。
同劇場で2月、60~90代の約760人が舞台「病は気から」を上演した。2016年に行った、高齢者の大群集劇への参加者で結成した「ゴールド・アーツ・クラブ」による成果発表だ。演劇に楽器演奏、ダンス。出演した城口弘子さん(73)は「思ってもみなかったことに没頭でき、仲間もいる。若返ります」。
蜷川さんは同劇場芸術監督に就いた06年、新しい表現に挑戦したいと、55歳以上の演劇集団「さいたまゴールド・シアター」を立ち上げた。妥協のない指導が実を結び、未経験者ばかりの集団が国内外で高く評価される舞台を生んだ。
劇場を運営する埼玉県芸術文化振興財団の渡辺弘・事業部長は「高齢者の表現への欲求に気づいた」と話す。「高齢者が輝ける、社会に開かれた劇場を目指せないか」。クラブは、その手始めという。
参考にしたのは英国だ。幅広い…