大久保美江子さん(左)に謝罪する東京電力の幹部=福島県飯舘村、代表撮影
東京電力福島第一原発事故の後、避難せず、福島県飯舘村で自殺した大久保文雄さん(当時102)をめぐり、福島地裁が原発事故と自殺の因果関係を認め、東電に慰謝料の支払いを命じた判決を受け、東電幹部が5日、村の大久保さん宅を訪れ、遺族に謝罪した。
福島地裁は2月、東電に慰謝料など1520万円の支払いを命じる判決を出し、遺族、東電ともに控訴せず、判決が確定した。
この日、東電福島復興本社の近藤通隆副代表ら3人が飯舘村の自宅を訪問。文雄さんの次男の妻、美江子さん(65)に対し、「事故により(文雄さんに)つらい決断をさせてしまい反省しております。家族の皆さんにもつらい思いをさせて申し訳ない」と謝罪した。
美江子さんは3人を文雄さんが長年耕した田畑に案内。現在は除染廃棄物の仮置き場になっている場所を見ながら「一度も飯舘村の外に出て暮らしたことのない人でした」と説明した。近藤副代表は「この場所をできる限り、住み良い場所に戻します」と話した。(石塚大樹)