評論家の西部邁(にしべすすむ)さん(当時78)が今年1月に死亡した際、西部さんの自殺を手助けしたとして、警視庁は5日夜、いずれも西部さんの知人、東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)の子会社社員窪田哲学(45)=東京都江東区福住1丁目=と、会社員青山忠司(54)=埼玉県上尾市富士見2丁目=の両容疑者を自殺幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕し、発表した。ともに容疑を認めているという。
自殺幇助の容疑者、MX番組「西部邁ゼミナール」で対談
捜査1課によると、窪田容疑者は「先生の死生観を尊重して力になりたかった」、青山容疑者は「20年以上お世話になった先生のためにやらなくてはならないと思った」と述べているという。窪田容疑者は、西部さんが出演していた番組の担当プロデューサーだったと説明しているという。
逮捕容疑は、1月21日未明、大田区田園調布5丁目の多摩川付近まで西部さんを車で連れて行き、工事現場などで使う安全帯やロープを装着させた上で川に入水させて自殺を手助けしたというもの。
現場からは遺書が見つかり、警視庁は自殺と断定したが、西部さんが病気の影響で手が不自由で、ロープの装着などを一人で行うのは難しいとみて捜査。防犯カメラの映像などから2人が浮上したという。
西部さんは1月20日午後11時50分ごろ、新宿御苑付近で娘に「これから人と会う」と言って別れていた。直後、新宿区内を窪田容疑者と一緒に歩く姿が防犯カメラで確認されたという。
MXテレビのホームページによると、青山容疑者は1月10日に収録された番組で西部さんと対談。西部さんは「(人間にとって)本当に幸いなのは死ねること」などと述べ、西部さんが亡くなった後の同月27日に「生前最後のメッセージ」として放送された。