荷物をまとめて宿舎のホテルを離れる大阪桐蔭の選手たち=大阪市中央区
第90回記念選抜高校野球大会で、史上3校目の春連覇を達成した大阪桐蔭。「春の日本一」を公言し、見事果たしたチームの戦いを振り返る。
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大会前、西谷浩一監督が選手たちにこう告げた。「大会前の準備、大会中の成長、勝利への執念。この三つがそろわないと、春の日本一は勝ち取れない」。報道陣の取材にも、「まだまだ未完成のチーム。大会中に成長してほしい」と期待を語っていた。
そして迎えた大会。選手たちが「あの試合で成長できた」と口をそろえるのが、準決勝の三重戦だ。
初戦の伊万里(佐賀)戦は14―2、3回戦の明秀日立(茨城)戦は5―1、準々決勝の花巻東(岩手)戦は19―0と、チームは持ち前の打力を発揮して順調に勝ち上がってきた。
しかし、準決勝では三回に2点を先制され、今大会で初めて追いかける展開に。それでも、捕手の小泉航平君(3年)は「絶対にピンチが来ると想定していた。粘って粘って耐えようと言っていた」。追加点を許さず1点差で迎えた九回に同点に追いつくと、十二回にサヨナラ勝ちした。
この試合で本塁打を放った山田健太君(同)は「苦しい試合だったが、投手も踏ん張って、最後に勝利への執念を見せられた」。
決勝の智弁和歌山戦でも四回に2点を奪われたが、窮地をくぐり抜けたチームは強かった。直後の攻撃で同点とすると、犠打を絡めた攻めで七回に勝ち越し。5―2で優勝を決めた。
目標を達成しても、チームは日常を貫く。宿舎に戻った後も、派手な祝勝会は無し。夕食時にジュースやケーキなどで簡単に祝っただけだったという。
一夜明けた5日朝、中川卓也主将(同)は「選抜を最後まで戦った自分たちは、夏の日本一という山に登り始めるのが一番遅い。これから急ピッチで駆け上がりたい」と話した。西谷監督も「1年生が入ってチームは64人になった。さらに戦力を高め、春夏連覇に挑んでいく」。夏への戦いが、すでに始まっている。(遠藤隆史)