シリアでの化学兵器使用疑惑を巡り、アサド政権への軍事攻撃を検討している米国のトランプ大統領は12日午後、国家安全保障会議(NSC)を開き、対応を協議した。情報の分析を継続するため、最終判断を先送りにした。証拠の精査に加え、反発を強めるロシア側の出方を見定めようとしている可能性がある。
ホワイトハウスのサンダース報道官は会議終了後、声明を発表。「最終決定は下されていない」とした上で、「情報の分析を進め、パートナーや同盟国と協議する」と述べ、連携する英仏首脳と電話会談するとした。英首相官邸によると、トランプ氏とメイ首相は「アサド政権が化学兵器を再び使わないよう抑止する必要がある」とし、共同して対抗していくことで合意したという。
電話会談に先立ち、英国政府は、シリアでの化学兵器使用疑惑への対応を協議するため緊急の閣議を開いた。英首相官邸の発表によると、アサド政権に責任がある可能性が「極めて高い」との認識で一致。人道的な苦痛を軽減し、アサド政権による将来の化学兵器使用を防ぐため「行動する必要がある」とし「引き続き米国やフランスと協力する」ことを確認した。
NSCに先だって、トランプ氏は同日午前、「我々は全体状況を非常に深刻に見ている」とし、「決断は非常に近い」と記者団に述べていた。
一方、米NBCは12日、複数の当局者の話として、シリアでの化学兵器使用疑惑がある攻撃の被害者の検体から化学物質が検出されたと伝えた。塩素ガスや何らかの神経剤の存在を示すという。(ワシントン=杉山正、オスロ=下司佳代子)