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「三重ローン、子ども産めない…」 熊本地震2年

作者:奥正光  来源:asahi.com   更新:2018-4-14 9:23:52  点击:  切换到繁體中文

 

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再建した自宅で母中村実穂子さん(中央)、めいの三角晏璃ちゃん、夫の峯将洸さん(左)ら合計8人の家族で暮らす峯愛さん(右)=2018年4月12日午後0時8分、熊本市南区、北村玲奈撮影


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仮住まいの次の住宅をどう確保するか。熊本地震から2年になるのを前にした朝日新聞の被災者アンケートでは、いまだ日常を取り戻せず、何かを諦めざるを得ない悩みの深さが浮かび上がった。自宅再建が進んでいる人も、元の暮らしに戻れるか不安を抱いている。


【動画】生活再建、入り口にさしかかったばかり 熊本地震2年


「再建停滞」4割 熊本地震2年、仮住まい3万8千人


熊本市南区城南町藤山の介護福祉士、峯愛(みねあい)さん(28)は7月、夫の将洸(まさみつ)さん(28)と念願の結婚式を挙げる。結婚したのは2年前の1月。秋に式を挙げる予定だったが、4月に地震にあい、自宅が全壊した。新しい家を建て、三重のローンがのしかかる厳しい家計を考え、ドレスではなく家にある着物を着て、衣装代を節約するつもりだ。


特集:熊本地震


激震に襲われたのは、両親らと暮らす自宅を2世帯仕様にリフォームした2週間後。「みんなで一つ屋根の下で住み続けたい」と仮設住宅には入らず、車中泊や敷地内のコンテナハウスで雨露をしのいだ。


17年6月、1階の面積が元の半分ほどの平屋の新居を建てた。残ったのは全壊した自宅の購入費とそのリフォーム費用、新居の建設費の「三重ローン」。地震前に月3万円台だった返済額は11万円超に増えた。30年以上かけて父や夫らと総がかりで返済する計画だ。


訪問介護事業所で働くが、「いま産休に入ったら収入はさらに減る。子どもを産めない」。昼食を我慢することもしばしば。「二重、三重のローンを組まないと人並みの生活ができない。どうなったら、復興なんだろうな」(奥正光)


学生戻らぬアパート ローン残る


「将来どこに住むのか、まだ決められない。行き場がない」。熊本県南阿蘇村黒川地区の自宅が全壊し、村内の仮設住宅に家族で身を寄せる橋本綾さん(41)はそう話す。


黒川地区は、近くにある東海大阿蘇キャンパスで学ぶ農学部生約800人が集まる「学生村」。「大学はつぶれることはないから」と、12年前に義父名義で鉄筋コンクリート3階建ての学生向けアパートを建て、経営してきた。周囲には木造アパートが多く、女子学生の人気を集めていた。


だが、2016年4月16日の本震で多くの建物が倒壊し、下敷きになった学生3人が犠牲になった。東海大はキャンパスからの事実上の撤退を決めた。橋本さんのアパートは幸い大きな被害を免れ、今は復旧工事の作業員が入居するが、学生はもう来ない。地震後はパート従業員として働き始めた。


自宅は16年10月に解体を終えたが、アパートを建てる時に組んだ20年ローンが半分ほど残っており、家の再建に踏み切れない。地震前は夫と子ども、義父母の3世代6人で暮らしていたが、今の仮設は手狭なため、義父母は一人暮らし向けのアパートの一室で寝泊まりしてもらっている。その仮設住宅も今年10月には入居期限がやってくる。


災害公営住宅の希望を出してはいるものの、アパートの家賃収入があるため、家賃は最も高いランクになりそうだ。「いっそ民間の賃貸住宅に入るのがいいのか。難しいですね」。手元に資産を残しつつローンを減免してもらえる被災者向け制度の適用を求めて、金融機関と話し合っている。(江崎憲一)


元のにぎやかな家に…


熊本県大津町岩坂の仮設住宅で暮らす中村義生さん(76)は1月、腰が痛くて布団から起き上がれなくなり、そのまま入院した。4月に一時退院し、介護用ベッドでこうもらした。「2年で色んなことが起きて、人生ががらっと変わった」


南阿蘇村立野で1・2ヘクタールの田畑を耕作し、牛も飼う農家だったが、地震で自宅は全壊、断水で農業もできなくなった。3世代7人で暮らしていたが、仮設は全員が住めるほど広くない。長男の会社員喜盛(きせい)さん(48)夫妻と孫3人は自費で、大津町のアパートに分かれて住む。


住民票上は同じ世帯で罹災(りさい)証明が1世帯分しかもらえず、喜盛さんのアパートはみなし仮設にならなかったからだ。


家があった場所は土砂災害特別警戒区域に指定されて戻れない。村内のJR立野駅近くの所有地で今春、新居の建設が始まった。「大工さんも掛け持ちのようで、秋までにできるかどうか。それまでに体もよくなればいいが」と義生さん。


元のにぎやかな家に戻ってほしいと願うが、3人の孫は徐々に新しい住まいになじみ、「新しくできた友達と別れたくない」と転校を嫌がっている孫もいる。「新居ができても、戻ってきてくれるのか」。義生さんは期待とともに、そんな心配も抱える。(東野真和)




 

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