容疑者の逮捕を受け、会見でメモを見ながら心境を語る北口聡美さんの父・忠さん=13日午後2時54分、広島県廿日市市の廿日市署、上田幸一撮影
広島県廿日市(はつかいち)市で高校2年生だった北口聡美さん(当時17)が殺害された事件は、急きょ捜査線上に浮上した鹿嶋学容疑者(35)が13日に殺人容疑で逮捕され、発生から13年半たって急展開を見せた。ただ父は容疑者逮捕の報にも帰らぬ娘を思い、無念さをにじませた。
「この日を迎えるまで、不安な気持ちが大きかったが、もやもやした気持ちが払拭(ふっしょく)された。よかったと思うが、娘と会えないことに変わりはない」
北口さんの父親の忠さん(60)は13日午後、廿日市署で会見し、心情についてこう述べた。時折、用意したメモに目を落としながら、しっかりした口調で報道陣の質問に答えていた。
全てが一変したあの日以降、事件に関する情報を求め、粘り強く活動を続けてきた。風化を恐れて、2005年にブログ「SA・TO・MI~娘への想(おも)い~」を開設。07年には、独自に有力な情報に謝礼金300万円を支払うとも公表し、事件が起きた10月5日前後には、毎年のように街頭に立ってチラシを配った。
だが捜査は長期化。昨年10月5日のブログには「悪い夢なら覚めて欲しい」とあり、苦悩する胸の内がうかがえた。
そこへ届いた容疑者逮捕の知らせ。ブログにはこうつづられている。
「『守る事(こと)が出来ないで、ごめんなさい』という想いの方が大きいですし これからも、この想いは持ち続けるでしょうね」