主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が19日午後(日本時間20日未明)、米ワシントンで始まった。米国が次々と打ち出す保護主義的な貿易政策に各国が反発を強めており、自由貿易の重要性をめぐる議論が最大の焦点となりそうだ。
会議は20日まで。日本からは麻生太郎財務相と日本銀行の黒田東彦総裁らが出席する。麻生氏は初日の議論の後、記者団に対し、「自由で公正な貿易を通じて世界経済の成長を高めることが重要だと発言した」と述べた。
黒田氏も会議に先立ち、「世界経済は順調に成長を加速している状況だが、大きなリスクとして、内向きの経済政策、特に保護主義に対する警戒を示している」と指摘。「日本経済にも影響があり得るので、動向に十分、注意したい」と語った。
米トランプ政権が鉄鋼・アルミ製品の関税引き上げを決めるなど、保護主義的な姿勢を強めるなか、中国が報復措置を発表。欧州諸国も反発を強めている。さきの日米首脳会談でも、トランプ大統領は自国に有利な二国間の貿易協定を重視する姿勢を強調した。
こうしたなか、今回の会議では、日本を含む参加国が足並みをそろえて、自由貿易を重視する姿勢を示せるかが鍵になる。ただ、米国も自らの正当性を主張すると見られ、踏み込んだ議論ができるかは不透明だ。
会議では、米英仏によるミサイル攻撃があったシリア情勢や、途上国のインフラへの民間投資を促すための施策などについても議論される見通しだ。(ワシントン=笠井哲也)