主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での議論を終え、記者会見した麻生太郎財務相と黒田東彦・日銀総裁=20日午後、ワシントン、青山直篤撮影
米ワシントンで開かれていた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が20日(日本時間21日)閉幕し、各国は経済成長に自由貿易が欠かせないとの認識で一致した。麻生太郎財務相は米ムニューシン財務長官と1対1で会談し、米国の保護主義への懸念を伝えるとともに、鉄鋼・アルミ製品の関税対象から日本製品を除外するよう改めて求めた。
米中の通商摩擦が深刻化するさなかに開かれた今回は、堅調な世界経済に水を差すリスクとして、保護主義の広がりへの懸念が共有された。関係国は保護主義を避けるよう対話を継続する。会議後に会見した麻生氏は「内向きな流れができあがりつつあるように見えるのはよろしくない」との懸念をムニューシン氏に伝えたことを明らかにした。
米国の鉄鋼・アルミ製品への高関税については、トランプ米大統領も日米首脳会談で、日本製品を除外しない考えを表明しており、日本との二国間の通商交渉の「カード」として手元に残す意向とみられる。
G20では金融政策について、各国が進めてきた金融緩和を引き締める方向に戻していく時期に来ていることを確認した。一方で、急激な金利上昇が起きた場合に備え、対策を練る必要があるとの考えで一致した。
麻生氏とともに会見した日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は「FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースが加速するとの思惑から、米国の長期金利が急上昇したり、各国の株価が不安定な動きをしたりしたこともあり、十分注視していく必要がある」と述べた。
3月にアルゼンチンで開かれた前回会議から日が浅いこともあり、共同声明の採択はなかった。(ワシントン=笠井哲也、青山直篤)