今年初めての署名活動を行う曽我ひとみさん(右)=2018年4月21日、新潟県佐渡市、原裕司撮影
北朝鮮の核実験の中止や核実験場廃棄などの宣言を、拉致被害者やその家族はどう受け止めるのか。
北朝鮮による拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表(79)は「北朝鮮がどこまで本気かわからないが、核やミサイルの問題が進めば、拉致問題についても取り組む環境づくりになる。このまま意地を張るのは得策でなく、国際社会とつき合わないとうまくいかない、ということが北朝鮮もわかってきたのではないか」ととらえる。
宣言では拉致問題には触れられなかった。「トランプ大統領が米朝首脳会談で北朝鮮に拉致問題の解決を迫るよう、さらにお願いしていくしかない」と話した。
拉致被害者で、新潟県佐渡市在住の曽我ひとみさん(58)は21日、同市で被害者の早期救済を訴える今年初めての署名活動を行った。
曽我さんが公の場で署名活動をするのは、昨年12月に夫ジェンキンスさんを亡くして以来初めて。北朝鮮の核実験中止や核実験場廃棄などの宣言について「今朝の速報で見ましたが、本当に全部廃止になればいいと思う」と述べた。米朝首脳会談について「2人の話なので、どういう展開になるかはわからない。しかし、少しでも早く被害者が帰国できるよう、心から願っています」と語った。
曽我さんとともに母親のミヨシさん(当時46)が拉致されて、今年で40年になる。「母親が帰国したら、身の回りのことを手伝い、普通の生活を送ってもらいたい」と話した。(編集委員・北野隆一、原裕司)