安倍晋三首相は29日午前、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と電話で協議した。文氏は南北首脳会談の内容について首相に説明し、会談の中で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、拉致問題を提起したことを伝えた。電話協議後、首相が記者団に明らかにした。
安倍首相は記者団の取材に対し、「文在寅大統領から、拉致問題そして日朝関係について金正恩委員長に話をした。私の考えを伝えたというお話があった」とした。そのうえで「詳細については現段階では申し上げることはできないが、私から要請したことについて、しっかりと提案して頂いた文大統領の誠意に感謝申し上げたい」と語った。
また首相は、6月までに予定されている米朝首脳会談に言及。「機会を生かして拉致問題が前進するようにこれからも全力を尽くしていきたい。今後さらに日韓、日米、日韓米で連携しながら核兵器を含む大量破壊兵器あらゆる弾道ミサイルの廃棄に向け、努力していきたい」と強調した。
首相はその後、韓国の徐薫(ソフン)国家情報院長と首相官邸で面会し、南北会談の詳細な説明を直接受けた。
冒頭、首相は「北朝鮮を巡る問題を解決するため、我々は一致して行動してきた。その中で歴史的な南北会談が成功裏に終了した。北東アジアの平和と安定のために日韓でしっかりと協力していきたい」と話した。徐氏は「朝鮮半島の非核化を一日でも早く移行段階へと移すことが、国際社会が努力すべきことだ。日本とも緊密に協議をしていきたい」と応じた。(小野甲太郎)