和歌山県白浜町の海岸で昨年7月、水難事故を装って妻を殺害したとして夫が逮捕された事件で、野田孝史容疑者(29)=大阪市天王寺区=が事件後、妻の志帆さん(当時28)にかけていた数千万円の生命保険金の受け取りに必要な書類を生保会社に請求していたことが捜査関係者への取材でわかった。県警は事件との関連を調べている。
県警などによると、2015年11月に結婚。事件の数カ月前、互いを受取人にする複数の生命保険に入った。しかし、孝史容疑者の女性問題などから、2人は事件当時別居し、離婚に向けて協議中だった。
孝史容疑者は昨年7月、白浜町の海岸で、シュノーケリングをしていた志帆さんを溺れさせて殺害した疑いがもたれている。
捜査関係者によると、孝史容疑者は昨年12月までに、生保会社に保険金の受け取りに必要な書類を請求していた。だが実際には保険金の請求はしていなかった。
孝史容疑者は、以前勤めていたペット用品会社に昨年11月に侵入して商品を盗んだとして、窃盗などの疑いで12月に県警に逮捕された。窃盗事件については金に困っていたという趣旨の供述をしていたという。
また、孝史容疑者は事件前、「思い出作り」のためなどとして、別居中で体調不良だった志帆さんを何度も白浜に誘っていたこともわかった。白浜は、2人で何度も訪れ、シュノーケリングをしていた町だったという。
県警は21日、孝史容疑者を和歌山地検に送検した。孝史容疑者は取り調べに対し、黙秘しているという。