北朝鮮が核実験場の廃棄を決めたことを伝えるニュースを流す街頭テレビ=2018年4月21日午前10時14分、東京都千代田区、角野貴之撮影
北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル試射の中止を宣言した。加速してきた核開発やミサイル発射によって技術の進展ぶりを誇示してきた中で、その真意は何なのか。約束は守られ、非核化は進むのか。国内の関係者には期待や不安が入り交じる。
昨年ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の国際運営委員、川崎哲(あきら)さん(49)は北朝鮮の対応について「かなり踏み込んだ内容で、評価できる」と歓迎した。
川崎さんは「核実験場の廃棄」という表現に注目。「単に核実験を一時停止するという以上に、核開発の放棄に向けた具体的な方向性を示している。『廃棄』と言った以上は、それを裏付けるための国際的な査察機関の受け入れも想定しているのではないか」と予想する。核実験場以外の核関連施設への査察も必要だという。
その上で、国連で採択された核兵器禁止条約の重要性を指摘。「核兵器の廃棄までのプロセスを具体的に示した条約であり、朝鮮半島の非核化に向けて活用すべきだ」と注文をつけた。
東京在住被爆者の団体「東友会」の大岩孝平代表理事(85)は、「発表通りに進めてくれれば大いに結構なことだ。だが、どこまで本気なのか、もろ手をあげて信用することはできない」と話す。この日の朝、テレビのニュースで北朝鮮が「核実験場廃棄」を宣言したことを知った。
北朝鮮は2006年10月以降、昨年までに6回にわたって核実験を繰り返し、16年には「水爆実験」にも成功したなどとしてきた。今回の「宣言」について、大岩さんは「核実験をする度に北朝鮮は世界から孤立していった。ようやくそれに気がついたのかもしれない」とみる。
長崎の被爆者でつくる長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(77)は、「緊張感がとけ、非核化の方向に進んでいると受け止められる。大変いいことだ」と評価した。
一方で、「北朝鮮は過去にも核開発をやめると言ったのに、核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言して核実験を実施してきた。今回の発表だけでは喜べない」とも指摘。「北朝鮮がNPTに再加盟して、査察も受け入れ、本当に核実験をしないということを示してほしい。日本政府も非核化を進めるため、橋渡しをしなければいけない。さらなる努力が必要だ」と話した。
広島県原爆被害者団体協議会(坪井直(すなお)理事長)の箕牧(みまき)智之(としゆき)副理事長(76)は「ミサイル発射を繰り返していた国とは思えない。驚いた。今後、世界が核兵器の廃絶に向かうことを願っている」とし、「核兵器は絶対悪。日本も、いつまで核の傘に入っているのか。戦争被爆国としての態度が問われる」と話した。
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