京都大経済研究所の元所長で60代の男性教授が手当などを不正に請求したとして、京大が近く処分を検討していることがわかった。住所が京都市にあると大学に届け出ながら実際は東京の自宅に住み、実態にあわない出張費を計上。単身赴任手当や東京―京都間の交通費などを受け取っていた。総額は約2年間で計約270万円。教授は学内の調査に不正を認めているという。
教授は、経済理論の専門家で、日本経済学会長を務めたことがある。2015年10月に別の大学から京大に移った。
関係者によると、京大は寄せられた情報に基づき、17年9月から調べていた。教授は京都市内にある賃貸住宅を住所として大学に届け出て、17年8月までに単身赴任手当や住居手当など計180万円あまりを受け取っていた。
また、教授は京大で授業を受け持っていなかったが、会議などのために出勤する際に、京都から東京方面に出張したことにして実態にあわない出張費を請求。実際にかかった交通費にあてていた。こうした「カラ出張」は24件、計80万円あまりに上った。
昨年度までの出勤状況を確認すると、大学に実際に出勤したのが計約80日に対し、学外で従事したとする日が計300日以上あった。秘書に指示して出勤簿に押印させ、出勤したことにしていたこともあったという。
調査に対し教授は、当初は京都に住む予定だったが、持病が悪化し、東京の自宅で家族と同居して京都に通うようにしていたと釈明。自宅で研究や業務ができると考えていたといい、「不正の認識はなかったが、反省している」と説明しているという。
京大では15年と17年にも元教授や助教のカラ出張が判明し、京大は17年7月、再発を防ぐ体制を整備すると表明していた。京大は「現状ではコメントできない」としている。