ソフトバンクグループ傘下で米携帯電話4位のスプリントと、米携帯3位のTモバイルUSは29日(日本時間30日未明)、合併することで合意したと発表した。株式交換で合併し、新会社名はTモバイルとする。両社の契約者数は合わせて1億2千万を超え、実現すれば首位ベライゾン・コミュニケーションズ、2位AT&Tに匹敵する巨大通信会社が誕生し、米携帯市場は三つどもえの戦いとなる。
米規制当局による審査を経て、2019年前半までに統合手続きを終える計画。スプリントの企業価値を約590億ドル(約6・4兆円)と見積もり、Tモバイル1株にスプリント9・75株を割り当てる。
ソフトバンクは新会社の株式の27%を、Tモバイルの親会社の欧州通信大手ドイツテレコムが42%をそれぞれ握る。新会社の取締役は14人で、ソフトバンクは孫正義会長兼社長ら4人を指名し、ドイツテレコムが9人を送り込む。Tモバイルのジョン・レガー最高経営責任者(CEO)が新会社でもCEOに就く。
ソフトバンクは2013年にスプリントを買収して以来、Tモバイルと経営統合させたうえで上位2社に対抗する戦略をとり、統合交渉は今回が3回目だった。14年は当時のオバマ政権の規制当局が難色を示して断念。2回目は新会社の支配権をめぐってソフトバンク、ドイツテレコムの双方が折り合えず、昨秋に破談していた。
今回の合意は、新会社の主導権をドイツテレコム側が握る内容だが、ソフトバンクは次世代無線通信規格「5G」への投資負担がかさむなか、規模が小さいままでは勝ち残れないとの判断から譲歩したとみられる。新会社は5Gなどに最大400億ドル(約4・3兆円)を投資する計画だという。(ニューヨーク=江渕崇)