福岡県は27日、県管理の31河川を対象に、「千年に1度」の確率の豪雨を想定した新たな浸水想定区域を公表した。従来の倍以上の計610平方キロが浸水する見通しだ。浸水の深さはJR小倉駅で3・7メートル、福岡市役所で2・7メートルなど、市街地でも浸水地域が広がっている。
2015年の水防法改正を受け、想定する降雨量を30~100年に1度から、千年以上に1度まで引き上げた。24時間の降雨が1100ミリだった1957年の「諫早豪雨」(長崎県)と同程度の大雨を想定して計算し直した。
その結果、福岡市中心部を流れる那珂川では24時間雨量が従来の2・9倍の961ミリになるなどし、31河川の浸水面積は従来の293平方キロから倍増となった。北九州市の中心部を流れる紫川では、従来が1・2平方キロだったのが11・8平方キロに広がる。
深さは、従来は浸水しない想定だったJR小倉駅は3・7メートル、北九州市役所は1・4メートル、西鉄福岡駅は1・2メートル。従来は1メートル未満だった福岡市役所は2・7メートル、JR博多駅は1・4メートルと予測された。
最も深い浸水想定が出たのは飯塚市で、遠賀川に支流の穂波川が流れ込む場所で8・9メートルとなった。
また、浸水が50センチを最初に上回ってから、最終的に50センチを下回るまでの時間は、最長で2週間近いとの見通しも示された。
各自治体は今回の想定に基づき、ハザードマップを作り直す。地下街や社会福祉施設は避難計画作成が義務づけられる。浸水想定は県のHP(
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/sinsui-soutei.html
)で公表している。(渕沢貴子)