セクハラ研修を受ける財務省の幹部ら=東京・霞が関の中央合同庁舎4号館
財務省は9日、福田淳一・前事務次官がセクハラ問題で辞任したことを受け、幹部ら約80人を対象にセクハラ研修を開いた。講師を務めた菅谷貴子弁護士は「財務省の感覚と世の中の常識が非常にズレている、大きく乖離(かいり)がある」などと厳しく指摘した。
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菅谷氏は研修の冒頭、福田前次官のセクハラ問題への財務省の一連の対応について「大きな疑問やズレを感じた。どこかゴシップのひとつであるとして『本当に訴えたいなら証拠を持ってきなさい』というおごりがあったのではないか。人権侵害の問題であり、刑事事件にもなりうる大きな不祥事であることについてしっかり認識していただきたい」などと語りかけた。
さらに「二度とこのようなハラスメント問題を起こさないためにどうすればいいのか、なにがハラスメントなのか、ハラスメントが起きたときにどう対応すればいいのか、しっかりと当事者意識をもって認識していただければ」と諭した。
研修は1時間半にわたり、非公開で開かれた。財務省によると菅谷氏からは調査方法への批判のほか、「女性と1対1での会食を避けることは再発防止策として適当ではない」「私的な場と思っていても公の人間とみられている意識が必要」などとの指摘があったという。
研修は、前次官の問題を受けて急きょ開かれた。これまでも入省時や役職ごとの研修はあったが、幹部が集まってセクハラ研修を受けるのは初めて。出席した幹部は岡本薫明主計局長や太田充理財局長ら、ほぼ全員が男性。幹部以外にも各局でセクハラ相談を担う女性約20人が出席した。財務省は今後、対象者を広げて研修を続けるとともに、女性職員らからのヒアリングなども検討している。